インボイス制度開始で個人事業主がするべきことはなに?そもそもインボイス制度とは?
初心者向けにわかりやすく解説します!
インボイス制度とは
インボイス制度とは、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式のことです。
インボイス制度に対応することで、買い手は、売り手からの仕入額にかかる消費税額に応じて消費税の控除を受けることが出来ます。
消費税が課税される仕組み
一般的に、商品・サービスの取引には買い手・売り手・消費者が関係します。
売り手 | 商品・サービスを作るための材料を売る事業者。 |
買い手 | 材料を売り手から仕入れる事業者。材料から作った商品・サービスは、消費者へと販売される。 |
消費者 | 買い手が作った商品・サービスを買う。 |
この3者間の取引において、2種類の消費税が発生します。
買い手→売り手 | 買い手が売り手に、仕入に対して消費税を支払う。 |
消費者→買い手 | 消費者が買い手に、購入した商品・サービスに対して消費税を支払う。 |
このとき、本来であれば買い手は消費者から支払われた消費税を、消費者の代わりに申告して納税する必要があります。
しかし、インボイス制度に対応することが出来れば、買い手が申告・納税するべき消費税額の控除を受ける(買い手が申告・納税するべき消費税額を減らす)ことが出来るのです。
消費税の仕入税額控除とは
上記した通り、買い手は消費者から支払われた消費税を消費者に代わって申告・納税する必要があります。
しかし、消費税の仕入税額控除を受けることによって、買い手が申告・納税すべき消費税額が減額されます。
具体的な仕入税額控除の計算式は以下の通りです。
買い手の仕入税額控除後の納税額=(消費者から支払われた消費税額)ー(買い手が売り手に支払った消費税額)
消費税額の仕入税額控除を受けることで、買い手が売り手に対して支払った消費税額を、申告・納税すべき消費税額から差し引くことが出来るのです。
例えば、消費者から買い手に支払われた消費税額が500円で、買い手が売り手に支払った消費税額が100円だった場合、消費税の仕入税額控除を受けることで、買い手が申告・納税する消費税額は
500円ー100円=400円
となり、納めるべき消費税額を減らすことが出来るのです。
このことから、個人事業主であればインボイス制度に対応しておくことがおすすめされます。
インボイス制度に対応できるのは課税事業者のみ
消費税の仕入税額控除を受けるためにはインボイス制度に対応する必要があります。
このとき、売り手が適格請求書という書類を発行し、売り手と買い手がそれぞれ適格請求書を保存することでインボイス制度に対応することが出来ます。
しかし、適格請求書を発行できる個人事業主は課税事業者のみです。
課税事業者というのは前々年度の売上高が1,000万円を超える個人事業主のことで、課税事業者は消費税の申告・納税を行う必要があります。
そして、前々年度の売上高が1,000万円を超えていない個人事業主を免税事業者といい、免税事業者は消費税の申告・納税を行う必要がありません。
つまり、免税事業者は適格請求書を発行できないため、売り手が免税事業者の場合はインボイス制度に対応することが出来ません。
売り手が免税事業者のままでいるとどうなるのか
それでは、売り手が免税事業者のままでいた場合にどうなるのかについて解説していきます。
販売価格の減額を要求される
売り手が免税事業者のままでいた場合、インボイス制度に対応することが出来ません。
その場合、免税事業者から仕入を行う買い手は消費税の仕入税額控除を受けることが出来ないのです。
そのため、買い手は控除されない分の消費税を余分に支払うことになるため、その分材料などの販売価格を下げることを売り手に要求してくることが予想されます。
販売価格を下げた場合、免税事業者である売り手の売上高が減少してしまうのです。
取引先が減る
免税事業者は適格請求書を発行できないため、買い手は消費税の仕入税額控除を受けることが出来ません。
そうなってしまうと、買い手にとっては免税事業者から仕入をするよりも課税事業者から仕入をする方が良いでしょう。
上記のように、免税事業者である売り手が販売価格の減額に応じれば、買い手は取引を続けてくれるかもしれません。
しかし、売り手が販売価格の減額に応じることが出来なければ、買い手はもうそれ以上取引を続けてくれなくなる可能性が高いです。
新たな取引先の確保が困難になる
インボイス制度に対応できない免税事業者とわざわざ取引を行うメリットはないでしょう。
そのため、免税事業者の状態で新しく取引先を見つけることは難しくなることが予想されます。
免税事業者の売上先には経過措置がある
売り手が免税事業者である場合、買い手には税制上の弊害が生じます。
しかし、売り手が免税事業者のままであったとしても、免税事業者の売上先は経過措置として一定の仕入税額控除を受けることができます。
詳細は以下の通りです。
免税事業主から仕入を行う事業者は、制度開始から6年間は、仕入税額の一定割合を控除することが出来る。 【令和5年10月~令和8年9月末】仕入税額の80%を控除することが可能 【令和8年10月~令和11年9月末】仕入税額の50%を控除することが可能
このように、売り手が課税事業者であれば買い手は仕入税額の全額を控除することが出来ますが、売り手が免税事業者であったとしても、期間内であれば買い手は仕入税額の一定割合を控除することが出来ます。
売り手が免税事業者のままで良い場合
売り手が免税事業者のままであっても問題ない場合を紹介します。
売上先が消費者・免税事業者である場合
消費者や免税事業者は、消費税の仕入税額控除を行いません。
そのため、売上先が消費者・免税事業者である場合、売り手が免税事業者であっても問題ありません。
売上先が簡易課税制度を適用している事業者である場合
簡易課税制度とは、前々年度の課税売上高が5,000万円以下である場合、その課税期間において、売上に係る消費税額に、事業の種類の区分に応じた一定のみなし仕入率を乗じて算出した金額を仕入れに係る消費税額として、売上に係る消費税額から控除するという課税方法です。
売上先がこの簡易課税制度を適用している場合、売り手は免税事業者のままで問題ありません。
売上先が2割特例により消費税の申告を行う場合
2割特例というのは、消費税の納付税額を(売上に係る消費税額)の2割とすることができる特例です。
この2割特例は、インボイス制度をきっかけとして免税事業主から適格請求書発行業者となった事業者が対象となっています。
売上先が2割特例を適用している場合は、売り手は免税事業主のままでOKです。
インボイス制度に対応するにはどうすれば良いのか
それでは、実際に個人事業主がインボイス制度に対応するにはどうすれば良いのでしょうか。
適格請求書発行事業者に登録する
個人事業主がインボイス制度に対応するためには、適格請求書発行事業者に登録する必要があります。
登録の申請方法には、郵送とオンライン(e-Tax)の2つがあります。
e-Taxで登録の申請を行う場合に必要なものは、
・マイナンバーカードなどの電子証明書 ・利用者識別番号等
です。
登録の申請は、※e-Taxソフトを利用して行うことが出来ます。
※e-Taxソフトは国税庁のホームページから利用することが出来ます。
会計ソフトの見直し
帳簿作成や確定申告に会計ソフトを利用している場合は、使用している会計ソフトがインボイス制度に対応しているかどうかを確認する必要があります。
インボイス制度に対応した適切な会計ソフトを使用して、正しく会計処理を行うことを心がけましょう。
書類のフォーマットなどを確認しておく
インボイス制度に対応するにあたって、各書類のフォーマットを改めて確認しておく必要があります。
インボイス制度開始後に対応した場合の注意点
インボイス制度が開始されてから適格請求書発行事業者への登録申請を行う場合、登録通知書の受領までに時間がかかってしまう可能性があります。
そのため、登録申請を行ってすぐに適格請求書事業者とはなることは出来ないため、注意が必要です。
※この記事は2024年2月19日時点の情報を基に作成しています。
コメント
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