QYLDはやめた方が良い?QYLDの配当利回りや配当金生活、メリット・デメリットについて初心者向けにわかりやすく解説します!
QYLDとは
QYLD(グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF)とは、NASDAQ100指数という株価指数に連動したインデックス型のETFです。
NASDAQ100指数は、米国を代表する株式市場であるNASDAQ市場の時価総額上位100銘柄(金融セクターを除く)で構成される株価指数です。
QYLDの特徴としては、分配金利回りが高い点や、カバード・コール戦略をとって運用されている点が挙げられます。
オプション取引とは
カバード・コール戦略について解説する前に、まずはオプション取引について紹介します。
オプション取引とは、株式などの有価証券や金融商品(原資産)を特定の日(期間内)に特定の価格(権利行使価格)で取引する権利(オプション)を売買する取引です。
オプションには以下の2種類があります。
コール・オプション | 有価証券・商品を特定の日に特定の価格で買う権利 |
プット・オプション | 有価証券・商品を特定の日に特定の価格で売る権利 |
オプション取引で得られる利益は以下の通りです。
オプションを売る場合の利益 | 権利の買い手から支払われるオプション・プレミアム(オプション料)が利益となる。 |
コール・オプションを買う場合の利益 | (権利行使時の原資産の時価)ー(権利行使価格)ー(オプション・プレミアム) ・原資産の時価よりも権利行使価格の方が低いほど、その分より安く原資産を買うことができる。 =原資産の時価が上昇するほど利益が大きくなる。 |
プット・オプションを買う場合の利益 | (権利行使価格)ー(権利行使時の原資産の時価)ー(オプション・プレミアム) ・原資産の時価よりも権利行使価格の方が高いほど、その分より高く原資産を売ることができる。 =原資産の価格が下落するほど利益が大きくなる。 |
カバード・コール戦略とは
QYLDは、カバード・コール戦略という方法を使って運用されるETFとなっています。
カバード・コール戦略とは、オプション取引で利益を出す(コール・オプションを売ることで利益を出す)投資方法です。
コール・オプションを売る際、売り手は買い手からオプション・プレミアムというお金をもらいます。
コール・オプションを売るということは、原資産を将来売ることを決定させることになるため、原資産自体の価格の上昇による長期的なリターンというよりは、オプション・プレミアムによる短期的な利益を狙う投資方法となります。
QYLDの分配金利回り
Bloombergによると、2024年5月1日時点でのQYLDの分配金利回りは11.88%となっています。
これは、他の米国株ETFと比較してもかなり高い数値となっています。
QYLDの配当金生活シミュレーション
それでは、QYLDの分配金利回りが11.88%であると仮定した場合の、配当金生活のシミュレーションを行いたいと思います。
なお、このシミュレーションでは利益に対する税金を考慮しないため、あくまで税引前で年間どれくらいの金額の分配金を得ることが出来るのかを検証します。
結果は以下の通りです。
投資金額 | 年間の分配金金額 |
100万円 | 11万8,800円 |
500万円 | 59万4,000円 |
1,000万円 | 118万8,000円 |
1,500万円 | 178万2,000円 |
2,000万円 | 237万6,000円 |
2,500万円 | 297万円 |
3,000万円 | 356万4,000円 |
3,500万円 | 415万8,000円 |
4,000万円 | 475万2,000円 |
5,000万円 | 594万円 |
6,000万円 | 712万8,000円 |
7,000万円 | 831万6,000円 |
8,000万円 | 950万4,000円 |
9,000万円 | 1069万2,000円 |
1億円 | 1188万円 |
QYLDのメリット
分配金利回りが高い
QYLDに投資をするメリットとしては、やはり非常に高額な分配金を得ることが出来る点にあるでしょう。
以下で、他の高分配ETFと分配金利回りを比較してみました(2024年5月1日時点)(Bloombergで算出された数値を使用しています)。
ETF | 分配金利回り |
PFF | 6.19% |
SPYD | 3.79% |
BND | 3.63% |
JEPI | 7.00% |
HDV | 3.10% |
このように、QYLDは他のETFと比べて分配金利回りがかなり高いことが分かります。
より効率的にインカムゲインを受け取ることが出来るという点で、QYLDは他のETFを上回っているといえます。
QYLDのデメリット
リスクが大きい
QYLDは他のETFに比べて分配金利回りが非常に高いですが、同時にリスクも高いです。
その理由は、カバード・コール戦略にあります。
カバード・コール戦略では、コール・オプションを売ることによってオプション・プレミアムという利益を得ることが出来ます。
しかし、オプション・プレミアムが利益となるのは、あくまで権利行使日の原資産の時価が、(権利行使価格)+(オプション・プレミアム)の金額と同じかもしくはそれよりも低い場合に限ります。
もし、権利行使日の原資産の時価が(権利行使価格)+(オプション・プレミアム)の金額よりも高くなった場合、「本来その時価で売ることが出来る原資産を、それよりも安い価格で売ってしまう」ことになり、損失を出してしまうことになります。
それに加えて、コール・オプションを売るときの利益はオプション・プレミアムの金額に限られているのに対し、損失は権利行使日の原資産の時価が高くなればなるほど無限に大きくなります。
このことから、カバード・コール戦略はリターンに対してリスクがかなり大きくなってしまうのです。
長期的な運用に向いていない
カバード・コール戦略をとるQYLDでは、資産を長期的に保有せずにオプション取引によって売却してしまうことが多いです。
そのため、長期的な運用によるキャピタルゲインがあまり期待できません。
キャピタルゲインは、ETFを購入したときの価格よりも高い価格でETFを売却することによって発生しますが、ETFの価格が上昇する要因は、ETFに含まれている資産の価格が長期的に上昇することにあります。
しかし、カバード・コール戦略では資産をオプション取引によって比較的短期間で売却してしまうため、QYLDの価格は上昇しづらいです。
このように、短期的な利益は大きいものの長期的な利益は比較的小さい点も、QYLDのデメリットとして挙げられます。
経費率が大きい
ETFに投資をする場合、運用中に経費(手数料)を支払う必要があります。
Bloombergによると、QYLDの経費率は2024年5月1日時点で価格の0.61%となっており、これは他のETFに比べて大きい数値となっています。
以下で、他の高分配ETFと経費率を比較してみました(2024年5月1日時点)(Bloombergで算出された数値を使用しています)。
ETF | 経費率 |
PFF | 0.46% |
SPYD | 0.07% |
BND | 0.03% |
JEPI | 0.35% |
HDV | 0.08% |
経費率が高いと当然その分利益が小さくなってしまうため、経費率はETF投資においてとても重要な要素です。
上記のETFについて詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ!
【結論】QYLDは短期間で利益を出すことには有利である
QYLDの特徴を最終的にまとめると以下の通りになります。
・短期間で利益を出すことには良いが、長期的な運用に対しては疑問の余地がある
・手数料が高く、リスクも比較的大きい
結論として、短期間でのインカムゲインを目的とするのであればQYLDは適したETFといえるかもしれません。
しかし、リスク面を考慮すると投資経験が少ない投資家にはあまり向かない可能性もあるため、注意が必要です。
コメント
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