TMFの買い時はいつ?2つのポイントやTMFの株価や配当利回り、長期保有やメリット・デメリットを初心者向けにわかりやすく解説します!
TMFとは
TMF(正式名称:Direxionデイリー20年超米国債ブル3倍ETF)は、ICE U.S. Treasury 20+ Year Bond Indexという指数に連動するレバレッジ型ETFです。
ETFとは上場投資信託と呼ばれる投資信託の一種で、証券取引所で取引される投資信託となっています。
ETFの特徴としては、投資信託に比べて手数料が低い傾向にあることや、リアルタイムでの注文が出来るといった点が挙げられます。
ETFについて詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ!
ICE U.S. Treasury 20+ Year Bond Indexとは
ICE U.S. Treasury 20+ Year Bond Indexは、残存期間が20年を超える米国財務省証券で構成される指数です。
この指数の特徴としては、残存期間が20年を超えるいわゆる米国の超長期国債で構成されていることにあります。
そのため、TMFは米国の超長期国債に投資をするETFであるということになります。
超長期国債の特徴としては、ボラリティ(価格変動の度合い)やリターンが短期国債と比較して高いことなどが挙げられます。
レバレッジ型ETFとは
レバレッジ型ETFとは、一定の株価指数に倍数をかけた指数に連動した運用成果を目指すETFです。
通常のインデックス型のETFの場合、一定の株価指数と同じ動きをするように銘柄の組み合わせが決定されます。
ですがレバレッジ型ETFでは、株価指数の動きの数倍の値動きを目指すため、通常のインデックス型のETFに比べて期待される利益が大きくなります。
例えば、ある株価指数が1年間で10%上昇したとき、通常のインデックス型のETFの場合だと価格は指数と同じように1年間で10%上昇することになりますが、レバレッジ2倍のETFの場合だと価格は同期間で20%上昇することになります。
TMFはレバレッジ3倍のETFとなっているため、通常のETFの3倍の値動きが期待できます。
TMFの株価
まず初めに、TMFの価格を見ていきます。
アメリカの大手情報サービス会社であるBloombergによると、2024年8月8日時点でのTMFの価格は55.00米ドル(日本円で※約8,064円)となっています。
※三井住友銀行のリアルタイム為替レート(2024年8月8日 午後1時35分 現在)を使用しました。
TMFの配当利回り
次に、TMFの分配金利回りを確認します。
Bloombergによると、2024年8月8日時点でのTMFの分配金利回りは3.16%となっています。
これは、他の海外ETFと比較して低い水準にあると言えます。
TMFの構成銘柄
TMFの構成銘柄を見ていきます。
銘柄 | 割合 |
TLT(iシェアーズ米国債20年超ETF) | 69.80% |
Dreyfus Government Cash Management(投資信託) | 18.50% |
Goldman Sachs Financial Square Funds – Treasury Instruments Fund(投資信託) | 11.64% |
Dreyfus Treasury Securities Cash Management(投資信託) | 0.06% |
上記の通り、TMFの構成銘柄にはTLTが非常に大きな割合を占めていることが分かります。
TLTは、残存期間が20年を超える米国債で構成される指数に連動するETFです。
TLTについて詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ!
TMFの配当金生活シミュレーション
TMFの分配金で配当金生活をする場合のシミュレーションを行います。
このシミュレーションでのTMFの分配金利回りを3.16%と想定して、投資金額による年間の分配金金額を算出します(ただし税金を考慮せず、税引前の金額とする)。
シミュレーションの結果は以下の通りです。
投資金額 | 年間の分配金金額 |
100万円 | 3万1,600円 |
500万円 | 15万8,000円 |
1,000万円 | 316,000円 |
1,500万円 | 47万4,000円 |
2,000万円 | 63万2,000円 |
2,500万円 | 79万円 |
3,000万円 | 94万8,000円 |
3,500万円 | 110万6,000円 |
4,000万円 | 126万4,000円 |
5,000万円 | 158万円 |
6,000万円 | 189万6,000円 |
7,000万円 | 221万2,000円 |
8,000万円 | 252万8,000円 |
9,000万円 | 284万4,000円 |
1億円 | 316万円 |
TMFのメリット
大きなリターンが期待できる
TMFは、指数の3倍の値動きを目指すレバレッジ型のETFとなっています。
通常のインデックス型のETFの場合であれば、指数が上昇した場合にはETFの価格も同じ割合で上昇することが予想されます。
一方でレバレッジ3倍のTMFの場合は、指数の3倍の割合で価格が上昇することを目指すため、TMFからはレバレッジ型でないETFと比較してより大きな価格上昇が期待されるのです。
価格がより大きく上昇することで、ETFを売却した際に得られる利益(キャピタルゲイン)がその分大きくなります。
破綻リスクが低い
TMFは米国の超長期国債を対象としたETFとなっていますが、国債は一般的に金融資産の中でトップクラスにリスクが低いとされています。
その理由としては、国債の発行体が国であるからです。
通常、株式などの有価証券の発行体が破綻した場合、その有価証券の価格が大きく下落したり、換金できなくなってしまう場合があります。
しかし、国が破綻するリスクは一般企業と比較してはるかに低いとされているため、一般企業が発行する株式や債券に比べて、国債は上記のリスクがとても低いと考えられます。
デフレ時に価格が上昇する
株式の価格(株価)は、インフレ時に上昇し、デフレ時に下落します。
ところが債券の価格は、インフレ時に下落し、デフレ時に上昇します。
この理由としては、市場金利の動きが関係しています。以下がその仕組みを説明したものになります。
インフレ時 | 景気が上昇を迎える→過度に上昇した景気を抑制しようとする→お金の動きを抑制するために金利を引き上げる(金融引き締め)→新たに発行される債券の方が利回りが高くなるため、現在保有している債券の価格が下落する |
デフレ時 | 景気が下落を迎える→過度に下落した景気を活発化させようとする→お金の動きを促進するために金利を引き下げる(金融緩和)→新たに発行される債券の方が利回りが低くなるため、現在保有している債券の価格が上昇する |
このため、仮に米国株と同時に米国債を保有していた場合、米国のデフレ時に保有する米国株の価格が下落したときに米国債の価格は上昇するため、資産の減りを小さくすることが出来ます。
TMFのデメリット
配当利回りが低い
先述した通り、2024年8月8日時点でのTMFの分配金利回りは3.16%となっており、これは他の海外ETFと比較して低い水準となります。
以下で、他の海外ETFの分配金利回りの例を紹介しておきます(2024年8月8日時点)(Bloombergで算出された数値を使用しています)。
ETF | 分配金利回り |
QYLD | 12.96% |
PFF | 6.12% |
SPYD | 4.61% |
BND | 3.65% |
JEPI | 6.28% |
HDV | 3.30% |
VTI | 1.49% |
VIG | 1.97% |
QQQ | 0.70% |
このように、TMFは他の海外ETFと比較して分配金利回りが低く、特にQYLDとは分配金利回りに約9%も差があります。
分配金利回りが特に高い海外ETFについて詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ!
経費率が高い
ETFを保有する場合、保有している期間に経費(手数料)を支払う必要があります。
Bloombergによると、2024年8月8日時点でのTMFの経費率は価格の1.04 %となっており、これは他の海外ETFと比較して高い水準にあると言えます。
以下で、2024年8月8日時点での海外ETFの経費率の例を挙げてみました(Bloomberg参照)。
ETF | 経費率 |
QYLD | 0.61% |
PFF | 0.46% |
SPYD | 0.07% |
BND | 0.03% |
JEPI | 0.35% |
HDV | 0.08% |
VTI | 0.03% |
VIG | 0.06% |
QQQ | 0.20% |
このように、TMFの経費率は他の海外ETFと比較してかなり高い水準にあることが分かります。
ETFを長期的に運用していく上で、経費率はリターンに大きな影響を及ぼす要因となるため、経費率の高さは大きな障壁となってしまいます。
TMFよりも経費率が特に低い他の海外ETFについて詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ!
価格下落リスクが大きい
TMFはレバレッジ型のETFであるため価格の上昇面では通常のETFよりも大きなリターンが期待されます。
しかしその反面、価格の下落面では価格の下落率も指数の値動きの3倍になってしまいます。
TMFは、価格の上昇面では大きなリターンが期待できる一方で、価格の下落面では大きな損失を出してしまう可能性があるのです。
そのため、TMFは高リスク高リターンなETFであると考えられることから、安全に資産運用をしたい方にはあまりおすすめできない可能性があります。
為替リスクがある
為替リスクとは、為替レートを用いて異なる通貨同士を交換する(=為替をする)際に生じるリスクのことです。
例えば、ETFを構成する債券が米国債であった場合、利息や償還益をドルで受け取ると円に交換する必要があります。この場合、為替レートの状況に応じて以下のようなことが起こります。
・利息や償還益をドルで受け取るとき=ドルを円に交換する
→円安ドル高の場合、同じドルでもより多くの円と交換できる
円高ドル安の場合、同じドルでもより少ない円としか交換でない
TMFはドルで売買されるETFであるため、TMFへの投資には為替リスクが伴います。
TMFの買い時はいつなのか?
TMFの買い時は、以下の時期が買い時であると考えられます。
・景気がデフレ局面を迎えると予想されるとき
・市場の※ボラリティが大きいとき
先述した通り、米国債で構成されるTMFはデフレ時に価格が上昇するため、米国の景気がこれからデフレに向かうと予想されたタイミングがTMFの買い時であると考えられます。
また、市場のボラリティが大きい状況では金融資産の価格は上昇しやすいと考えられるため、TMFの買い時と判断することが出来ます。
ただし、市場のボラリティが大きい状況では価格の下落時には大きく下落することが考えられるため、注意が必要です。
※ボラリティ・・・価格変動の度合いを示す。資産の価格が変動しやすい場合は「ボラリティが大きい」、変動しにくい場合は「ボラリティが小さい」と表現する。ちなみに、レバレッジ型ETFであるTMFのボラリティは大きい。
TMFの長期保有はおすすめしない?
TMFの長期保有はあまりおすすめされないと考えられます。
TMFはレバレッジ型ETFであるため価格の下落リスクが高いことに加えて、経費率が高いことは長期保有する上で大きなデメリットとなります。
長期保有をする場合であれば、TMFのような高リスク高リターンなETFではなく、よりリスクが低く安定したETFの方が適していると考えられます。
反対に、価格の上昇を予想して短期間で大きなリターンを得たい場合においては、TMFは良い選択肢の一つになり得るでしょう。
コメント
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