VYM・HDV・SPYDの組み合わせは最適解なのか?三者の特徴を比較・分析した上でわかりやすく解説します!
VYM・HDV・SPYDについて
まず最初に、VYM・HDV・SPYDについて紹介します。
VYMとは
VYMは、バンガード社が提供するETFで、正式名称をバンガード米国高配当株式ETFといいます。
VYMは、FTSEハイディビデンド・イールド指数という株価指数に連動するインデックス型のETFです。
FTSEハイディビデンド・イールド指数は、米国株式市場において利回りが高い株式を中心に構成される株価指数です。
この指数の特徴としては、構成銘柄の多くが金融やヘルスケア、生活必需品部門であるということが挙げられます。
HDVとは
HDVは、ブラックロックという会社が運用するETFで、正式名称をiシェアーズ・コア高配当株ETFといいます。
HDVは、モーニングスター配当フォーカス指数という株価指数に連動するインデックス型のETFです。
モーニングスター配当フォーカス指数は、米国株式市場に上場している銘柄のうち上位75銘柄で構成される株価指数です。
SPYDとは
SPYDは、ステイトストリート社が運用するETFで、正式名称をSPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETFといいます。
SPYDでは、S&P500という株価指数を構成する銘柄のうち配当利回りが上位80銘柄の指数に連動することを目指します。
VYM・HDV・SPYDの基本データ
続いて、それぞれの基本的なデータを比較します。
なお、以下で用いる情報はすべてBloomberg(2024年9月10日時点)から引用しています。
価格
まずは、価格を確認します。
銘柄 | 価格(※日本円) |
VYM | 124.45米ドル(約1万7,874円) |
HDV | 117.660米ドル(約1万6,898円) |
SPYD | 44.84米ドル(約6,440円) |
※三井住友銀行のリアルタイム為替レート(2024年9月10日 午後8時5分 現在)を使用しました。
一口当たりの価格は、SPYDが他の二つよりも特に低いことが分かります。
どのETFも最低売買単位は一口となっているため、SPYDが最も少額投資に向いているETFであるといえます。
配当利回り
続いて、分配金利回りです。
銘柄 | 分配金利回り |
VYM | 3.29% |
HDV | 3.16% |
SPYD | 4.34% |
現時点では、SPYDが最も分配金利回りが高いETFとなっています。
日本株ETFや発展途上国株で構成されるETFと比較すると、どれも分配金利回りがかなり高くなっていることが分かります。
しかしながら、海外ETFの中で特に高分配なものだと分配金利回りが10%にも及ぶものもあります。さらなる高分配ETFに興味がある方は以下の記事をどうぞ!
コスト
最後に、コストです。
ETFの運用時には、経費と呼ばれるコスト(手数料)を支払う必要があります。そして、価格に対する経費の割合を経費率といいます。
銘柄 | コスト(経費率) |
VYM | 0.06% |
HDV | 0.08% |
SPYD | 0.07% |
VYMが最もコストが低いETFとなっていますが、どのETFもコストが低いです。
リスク分散効果
リスク分散とは、1つの資産だけに投資をするのではなく、様々な銘柄や業種、国の資産に分けて投資をすることを指します。
こうすることにより、たとえ1つの銘柄の価格が急落しても、投資全体での損失を少なく抑えることが出来るのです。
今回は、投資する銘柄数を基準として、三つのETFに期待できるリスク分散効果の大きさを比較してみます。
銘柄 | 構成銘柄数 |
VYM | 80銘柄 |
HDV | 75銘柄 |
SPYD | 80銘柄 |
ご覧の通り、どのETFもある程度多くの銘柄に分散して投資をしていることが分かります。
ですが、海外ETFの中ではこれはあまり高いリスク分散とはいえず、実際にVTというETFは約8,000銘柄に、VTIというETFは約4,000銘柄に分散投資をします。
VYM・HDV・SPYDの特徴
VYMの特徴
VYMの特徴としては、値動きが景気の影響を大きく受けないということが挙げられます。その理由は、指数の構成銘柄にあります。
NASDAQ100やS&P500といった株価指数の構成銘柄はテクノロジー・情報技術関連の企業が大きな割合を占めるのに対し、FTSEハイディビデンド・イールド指数の構成銘柄は主に金融やヘルスケア、生活必需品部門の企業が中心となっています。
金融・ヘルスケア・必需品分野は景気に関わらず常に一定の需要があるため、これらの企業の株価は比較的下がりにくいのです。
VYMには分配金利回りが低いというデメリットがあることは確かですが、上記のように安定していることや、コストが低いといったメリットがあります。
HDVの特徴
HDVの特徴として、健全性の高い企業に投資をするETFであるということが挙げられます。
HDVが連動するモーニングスター配当フォーカス指数は、配当利回りの高さだけでなく財務の健全度や企業の配当支払能力にも着目して選出された銘柄により構成されています。
そのため、HDVは比較的安全性の高いETFであると考えられます。
一方で、HDVのデメリットとしては分配金利回りが低い・リスク分散効果が低いといった点があります。
SPYDの特徴
SPYDは、米国の代表的な株価指数であるS&P500の中で、配当利回りの上位80銘柄により構成されるETFです。
米国を代表する指数の構成銘柄に投資をすることから、SPYDは信頼感が強く、またVYMやHDVと比較すると分配金利回りが高いこともメリットとなります。
その一方で、リスク分散効果があまり高くないことが懸念点となります。
VYM・HDV・SPYDの組み合わせが最適解なのか?
結論としては、VYM・HDV・SPYDを組み合わせてポートフォリオを作ることは最適解かどうかは個人によりますが、依然として良いものであると考えられます。
どのETFもリスク分散効果があまり期待できないことが憂慮されますが、これらを組み合わせて投資をすることでリスク分散効果を高めることができると考えられます。
また、どのETFも安全性が比較的高く、コストも低めであると考えられます。
一方で、どれも分配金利回りがとても高いわけではないことから、高いインカムゲインを最優先事項とする場合は懸念が残る可能性があります。
しかしながら、依然としてVYM・HDV・SPYDでポートフォリオを組むことに大きな疑念はないでしょう。
VYM・HDV・SPYDに投資をする際の注意点
為替リスク
為替リスクとは、為替相場の変動によって、外貨建て資産の円換算時の価値が上下するリスクを指します。
為替相場が円安に進行すると、外貨建て資産の円換算時の価値は上昇します。
反対に、為替相場が円高に進行すると、外貨建て資産の円換算時の価値は下落します。
VYM・HDV・SPYDは米ドルで取引されるETFなので、売買の際には為替リスクに注意する必要があります。
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