VTIとVYMはどっちの方がいい?両方に投資をするのはありなのか?両者を分析・比較してわかりやすく解説します!
VTIとVYM
まずは、VTIとVYMについての簡単な情報を紹介します。
VTI | VYM | |
正式名称 | バンガード・トータル・ストック・マーケット・ETF | バンガード・ハイディビデンド・イールドETF |
運用会社 | バンガード | バンガード |
対象指数 | CRSP US トータル・マーケット・インデックス | FTSEハイディビデンド・イールド指数 |
VTIとVYMはどちらもバンガード社が運用しています。
VTIとVYMは、どちらも対象指数に連動した運用成果を目指すインデックス型のETFです。
以下で、VTIとVYMが連動する指数について解説します。
CRSP US トータル・マーケット・インデックスとは
CRSP US トータル・マーケット・インデックスは、米国株式市場に上場する約4,000銘柄で構成される株価指数となっており、米国市場全体の動きを反映する指数です。
米国市場全体の銘柄で構成されるこの指数に連動するVTIは、米国株式市場全体に投資をするETFとなります。
この指数の最も大きな特徴は、構成銘柄数の多さであるといえます。
例として、米国の代表的な株価指数であるS&P500は米国の約500銘柄で構成されるため、CRSPの構成銘柄数がかなり多いことが分かります。
FTSEハイディビデンド・イールド指数とは
FTSEハイディビデンド・イールド指数は、米国株式市場において配当利回りが高い株式を中心に構成される株価指数です。
NASDAQ100やS&P500といった指数の構成銘柄はテクノロジー・情報技術関連の企業が大きな割合を占めるのに対し、FTSEハイディビデンド・イールド指数の構成銘柄は主に金融やヘルスケア、生活必需品部門の企業が中心となっています。
金融・ヘルスケア・必需品は景気に関わらず常に一定の需要があるため、この指数は他の株価指数と比較して値動きが景気に左右されずらいと考えられます。
VTIとVYMを比較
続いて、VTIとVYMを様々な観点から比較していきます。
なお、以下で使用する情報はすべてバンガードの公式サイトから引用しています(2024年9月18日時点)。
・Vanguard VTI Vanguard Total Stock Market ETF
VYM Vanguard High Dividend Yield ETF
価格
まず初めに、1口当たりの価格を比較します。
銘柄 | 価格(※日本円) |
VTI | 278.05米ドル(約3万9,386円) |
VYM | 127.04米ドル(約1万7,995円) |
※三井住友銀行のリアルタイム為替レート(2024年9月18日 午後7時35分 現在)を使用しました。
一口当たりの価格は、VYMの方がVTIよりも低くなっています。
VTIとVYMはどちらも1口から購入することができることから、VYMの方が少額投資に向いているでしょう。
インカムゲイン
インカムゲインとは、ETFを保有している期間に得ることができる利益のことで、いわゆる分配金(株式にとっての配当金)のことを指します。
VTIとVYMのインカムゲインは以下の通りとなります。
銘柄 | 30日SEC利回り |
VTI | 1.22% |
VYM | 2.63% |
30日SEC利回りとは、過去30日間のインカムゲインから費用等を差し引いて、その値を1口当たりの基準価格で割った値を示します。
現時点では、30日SEC利回りの面ではVYMの方がVTIよりも優れているといえます。
ですが、どちらも海外ETFとしてはあまり利回りが良いとはいえません。他の高分配ETFについて詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ!
コスト
続いて、コスト(手数料)です。
ETFのコストは経費と呼ばれ、ETFを保有している間は継続して支払い続ける必要があります。
以下で、経費率(ETFの価格に対する経費の割合)を比較します。
銘柄 | 経費率 |
VTI | 0.03% |
VYM | 0.06% |
ご覧の通り、経費率はVTIの方がVYMよりも低く設定されています。
経費率は、投資金額が大きくなるほどリターンに大きな差を生み出す要因となるため、その点でVTIは優れていると考えられます。
構成銘柄数
最後に、構成銘柄数です。
銘柄 | 構成銘柄数 |
VTI | 3656 |
VYM | 550 |
VTIの方がVYMよりもはるかに多くの銘柄に投資をしていることが分かります。
より多くの銘柄に投資をすることで、ETFの価格が1つの銘柄の株価変動の影響を受けづらくなるため、ETF全体の価格下落リスクを抑えることができます。これをリスク分散といいます。
VTIの方がVYMよりもリスク分散効果が高いと考えられるため、より安定した運用成果を期待することができます。
VTIとVYMはどっちの方がいいのか?
VTIとVYMでは、どっちに投資をする方が良いのでしょうか。
今回の比較を考慮して、VTIとVYMのそれぞれがおすすめされる投資家の特徴を挙げると以下の様になります。
・VTIがおすすめされる投資家
なるべく低いコストで運用したい
リスク分散をこころがけたい
・VYMがおすすめされる投資家
少額投資がしたい
高いインカムゲインが欲しい
VTIとVYMのどちらに投資をしようか迷っている方は、ぜひこの記事を参考にしてください!
VTIとVYMの両方に投資をするのはあり?
VTIとVYMの両方に投資をするのも良いと思われます。
その理由としては、単純にリスク分散効果が高まることが期待されるからです。
VTIは米国の株式市場に上場する銘柄の大半に投資をすることから、米国の上位銘柄に投資をするVYMと投資銘柄がかぶることは予想されますが、2つのETFの値動きは多少なりとも異なると思われるため、資産全体の値動き幅を抑える効果が期待できます。
VTIとVYMに投資をする上でのポイント
最後に、VTIとVYMに投資をする上での注意点を紹介しておきます。
為替リスク
為替リスクとは、外国の通貨で取引される金融資産を購入した際に、為替レートの変動に応じてその金融資産の円換算時の価値が上がったり下がったりするリスクのことを指します。
具体的には、為替レートが円安に進んだ場合、外貨に対する円の価値が下落するため、円換算時に外貨で取引される資産の価値は上昇します。
一方で、為替レートが円高に進んだ場合、外貨に対する円の価値が上昇するため、円換算時に外貨で取引される資産の価値は下落します。
為替レートの変動によって、利益が出ることもありますが同時に損失が出る可能性もあり、後者の場合は資産運用に大きな影響を与えることにもつながります。
VTIとVYMはどちらも米ドルで取引されるETFでるため、売買や分配金の受け取りの際に為替リスクが伴います。
米国以外の銘柄にも投資をする
先述した通り、VTIとVYMを組み合わせることでリスク分散効果の改善がある程度期待されます。
しかし、それだけではリスク分散が完全であるとはいえません。
なぜなら、どちらも米国株に投資をするETFであるため、米国全体の景気が下落した際に両方のETFの価値が下落してしまうことが予想されるからです。
そのため、VTIやVYMに加えて米国以外の国の銘柄(日本株ETF、インド株ETFなど)に投資をすることで、よりリスク分散効果を高めることができます。
また、ETF以外の資産(個人向け債券、不動産投資信託など)にも投資をすることでさらなるリスク分散につながります。
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