EDVとTLTを4つの観点から比較!米国債券ETFである2つのETFの違いやおすすめなどをわかりやすく解説します!
EDVとTLTについて
まずは、EDVとTLTの基本的な情報を紹介します。
EDV | TLT | |
正式名称 | バンガード・超長期米国債ETF | iシェアーズ 米国国債 20年超 ETF |
運用会社 | バンガード | ブラックロック |
対象指数 | ブルームバーグ・バークレイズ米国債STRIPS(20-30年)均等額面インデックス | ICE米国国債20年超インデックス |
EDVとTLTはどちらも残存期間が20年を超える米国の超長期国債に投資をするETFとなっています。
債券ETFの特徴や、両者の連動指数については以下で解説します。
債券ETFについて
債券ETFとは、その名の通り債券で構成されるETFのことです。
今回紹介するEDVとTLTはどちらも、米国が発行する債券である米国債のうち残存期間が20年を超えるもので構成されています。
債券ETFの最も大きな特徴は、一般的に株式ETFとは逆の値動きをすることです。
その理由としては、株価がインフレ時に上昇しデフレ時に下落するのに対し、一般的な理論として債券価格はデフレ時に上昇しインフレ時に下落するからです。
また、債券が株式に比べてリターンが小さい傾向にあることや、国債は他の債券や株式と比較してリスクが低いと言った点も特徴として挙げられます。
EDV・TLTのベンチマークを解説
続いて、EDVとTLTの連動指数(ベンチマーク)について解説します。
ブルームバーグ・バークレイズ米国債STRIPS(20-30年)均等額面インデックス
ブルームバーグ・バークレイズ米国債STRIPS(20-30年)均等額面インデックスは、残存期間が20~30年の米国財務省証券ストリップス債で構成される指数です。
この指数の特徴は、米国債の中でも残存期間が20~30年の超長期国債で構成されていることにあります。
超長期国債の特徴としては、ボラリティ(価格変動の度合い)やリターンが短期国債と比較して高いことなどが挙げられます。
ストリップス債について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください!
ICE米国国債20年超インデックス
ICE米国国債20年超インデックスは、残存期間が20年を超える米国財務省証券で構成される指数です。
この指数は、EDVのベンチマークと同様に残存期間が20年を超えるいわゆる米国の超長期国債で構成されます。
EDVとTLTの基本データを比較
次に、EDVとTLTの基本的なデータを比較していきます。
なお、価格/分配金利回り/手数料については以下を参照しています(2024年9月20日時点)。
・Bloomberg EDV:US
・Bloomberg TLT:US
価格
まずは、価格です。
銘柄 | 価格(※日本円) |
EDV | 80.61米ドル(約1万1,649円) |
TLT | 98.8800米ドル(約1万4,289円) |
※三井住友銀行のリアルタイム為替レート(2024年9月20日 午後8時35分 現在)を使用しました。
ご覧の通り、価格はEDVの方が低くなっています。
このことから、価格面を考慮すると「まずは1口から買ってみよう」というように少額での投資を考えている方にとってはEDVの方が向いているかもしれません。
分配金利回り
次に、分配金利回りです。
銘柄 | 分配金利回り |
EDV | 3.85% |
TLT | 3.80% |
現時点では、分配金利回りではEDVの方がTLTよりも若干優れていると考えられます。
とはいっても、大差は無いように見受けられます。
海外ETFへの投資で分配金の多さを重視する場合は、以下のETFがおすすめされます。特に、QYLDというETFは分配金利回りが10%を超えるほどかなりの高分配ETFとなっています。
手数料
続いて、コスト(手数料)を比較します。
ETFを運用している間は、経費と呼ばれる手数料を支払う必要があります。
以下で、両者の経費率(ETFの価格に対する経費の割合を示す)を比較しました。
銘柄 | 経費率 |
EDV | 0.06% |
TLT | 0.15% |
コスト面ではEDVの方がTLTよりもかなり優れていることがわかります。
ETFへの投資においては、分配金利回りの高さと同等に経費率の高さがリターンに大きな影響を与える要因となります。
そのため、ETFに投資をする際は経費率にも十分留意することが重要となります。
構成銘柄数
最後に、構成銘柄数を比較します。
構成銘柄数が多いほど、1つの構成銘柄の株価変動の影響を受けにくくなるためETFの価格が安定しやすくなります(=リスク分散)。
そのため、一般的にETFの構成銘柄数は多い方が良いとされます。
それぞれの構成銘柄数は、以下の公式サイトを参照しました。
・Vanguard EDV Vanguard Extended Duration Treasury ETF
・BlackRock iシェアーズ 米国国債 20年超 ETF
銘柄 | 構成銘柄数 |
EDV | 82 |
TLT | 46 |
以上の様に、EDVはTLTの約2倍の数の銘柄に分散して投資をしていることが分かります。
このことから、EDVの方が比較的安定した運用がされることが期待されます。
ですが、例えばS&P500という米国の株価指数に連動するETFは約500銘柄に分散投資をしていることなどを踏まえると、どちらもあまりリスク分散効果は高くないと考えることができます。
【結論】EDVとTLTの比較結果
それでは、EDVとTLTではどちらに投資をする方が良いのでしょうか。
結論としては、今回の4つの比較のみを考慮するとEDVの方がTLTよりも優れていると考えることができます。
あらためて以下にその理由をまとめました。
・EDVの方が分配金利回りが高い
・EDVの方が経費率が低い
・EDVの方が構成銘柄数が多い
ですが、あくまでこれは今回の比較を通して得られた結論であり、必ずしもEDVの方がTLTよりも優れているというわけではないということには注意が必要です。
EDVとTLTを買う際の注意点
EDVとTLTに投資をする上での注意点を挙げておきます。
株式とは逆の値動きをする
この記事の冒頭で述べた通り、一般的にEDVとTLTは債券ETFであり株式とは逆の動きをします。
そのため、普段から株式や株式ETFに投資をしていることから株式の値動きに慣れてしまっている場合、債券ETFの値動きを見誤ってしまう可能性があります。
また、そもそもなぜ債券が株式とは逆の値動きをするのかということについてあまり深い理解がなされていない場合、十分なETF運用が難しいことも考えられます。
このことから、EDVやTLTなどの債券ETFを運用する場合は「債券が株式とは逆の値動きをする」ということをしっかりと理解することが大切となるでしょう。
為替リスクがある
為替リスクとは、為替相場の変動によって、外貨建て資産の円換算時の価値が上下するリスクを指します。
為替相場が円安に進行すると、外貨建て資産の円換算時の価値は上昇します。
反対に、為替相場が円高に進行すると、外貨建て資産の円換算時の価値は下落します。
円以外の通貨で取引される資産に投資をする場合は為替リスクが伴うため、注意が必要です。
EDVとTLTは米ドルで取引されるため、分配金の受け取りや売買の際に為替が必要になります。
債券ETFにおすすめの海外株式ETF
債券と株式が異なる値動きをすることから、債券ETFと株式ETFを組み合わせて投資をすることで資産全体の値動き幅を抑えることができます。
そこで、以下で債券ETFに組み合わせるのにおすすめな海外株式ETFをいくつか紹介しておきます。
VT
VTは、米国を含む全世界の先進国株式市場および新興国株式市場に上場する株式約8,000銘柄で構成されるETFで、リスク分散効果が非常に高くなっています。
EDVとTLTはどちらもあまりリスク分散効果が高くないため、VTと組み合わせることがおすすめされます。
VTI
VTIは、米国市場の大型株から中小型株を含めた約4,000銘柄で構成されるETFで、VTと同様にリスク分散効果が非常に高いです。
コメント