TLTでの配当金生活は可能か?米国の超長期国債に投資をするETFであるTLTについて詳しく解説します!
TLTとは
TLT(正式名称:iシェアーズ 米国国債20年超ETF)は、ICE U.S. Treasury 20+ Years Bond Indexという指数に連動するインデックス型の債券ETFです。
ETFとは上場投資信託と呼ばれる投資信託の一種で、証券取引所で取引される投資信託となっています。
ETFの特徴としては、投資信託に比べて手数料が低い傾向にあることや、リアルタイムでの注文が出来るといった点が挙げられます。
ETFについて詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ!
ICE U.S. Treasury 20+ Years Bond Indexとは
ICE U.S. Treasury 20+ Year Bond Indexは、残存期間が20年を超える米国財務省証券で構成される指数です。
この指数の特徴としては、残存期間が20年を超えるいわゆる米国の超長期国債で構成されていることにあります。
そのため、TLTは米国の超長期国債に投資をするETFであるということになります。
超長期国債の特徴としては、ボラリティ(価格変動の度合い)やリターンが短期国債と比較して高いことなどが挙げられます。
TLTの株価

まずは、TLTの株価を見てみます。
2025年4月11日時点でのTLTの価格は86.4200米ドル(日本円で※約1円)となっています(Bloomberg参照)。
これは、決して安い金額とはいえないでしょう。
※三井住友銀行のリアルタイム為替レート(2025年4月11日 午後1時35分 現在)を使用しました。
TLTの配当利回り
次に、TLTの分配金利回りを確認します。
2025年4月11日時点でのTLTの分配金利回りは4.52%となっています(Bloomberg参照)。
TLTが債券で構成されるETFであることを考慮すると、なかなか高い分配金利回りだと考えられますが、海外ETF全体でみると特別高い水準にあるとはいえません。
以下で、他の海外ETFの分配金利回りの例を紹介しておきます(2025年4月11日時点)(Bloomberg参照)。
ETF | 分配金利回り |
TLT | 4.52% |
QYLD | 12.77% |
JEPQ | 13.28% |
SPYD | 4.21% |
BND | 4.00% |
JEPI | 9.16% |
HDV | 2.88% |
VTI | 1.53% |
VIG | 2.07% |
QQQ | 0.64% |
以上のように、一部のETFはTLTよりもはるかに高い分配金利回りを持つものもあります。特に、QYLDとJEPQは飛び抜けていることが分かります。
超高分配ETFについて少しでも興味のあるかたは要確認です!
TLTの経費率
次に、TLTの経費率を見てみます。
経費とは、ETFを運用するにあたって支払う必要のある手数料であり、経費率とはETFの価格に対する経費の割合を示したものです。
現時点で、TLTの経費率は0.15%となります。
これはつまり、投資金額が1万円の場合は、15円の経費を支払うことを意味します。
TLTのメリット

破綻リスクが低い
TLTは米国の超長期国債を対象としたETFとなっていますが、国債は一般的に金融資産の中でトップクラスにリスクが低いとされています。
その理由としては、国債の発行体が国であるからです。
国が破綻するリスクは一般企業と比較してはるかに低いと考えられます。そのため、一般企業が発行する株式や債券に比べて、途中で国債を換金出来なってしまう可能性がとても低いのです。
このことから、TLTは株式のみで構成されたETFと比較するとリスクが低いと考えることが出来ます。
デフレ時に価格が上昇する
一般的に、株式と債券の価格は逆の動きをすると言われています。
株式の価格(株価)は、インフレ時に上昇し、デフレ時に下落します。
ところが債券の価格は、インフレ時に下落し、デフレ時に上昇します。
この理由としては、市場金利の動きが関係しています。以下がその仕組みを説明したものになります。
インフレ時 | 景気が上昇を迎える→過度に上昇した景気を抑制しようとする→お金の動きを抑制するために金利を引き上げる(金融引き締め)→新たに発行される債券の方が利回りが高くなるため、現在保有している債券の価格が下落する |
デフレ時 | 景気が下落を迎える→過度に下落した景気を活発化させようとする→お金の動きを促進するために金利を引き下げる(金融緩和)→新たに発行される債券の方が利回りが低くなるため、現在保有している債券の価格が上昇する |
このため、仮に米国株と同時に米国債を保有していた場合、米国のデフレ時に保有する米国株の価格が下落したときに米国債の価格は上昇するため、資産の減りを小さくすることが出来ます。
配当利回りが高い
先述した通り、国債は株式などと比較してリスクが低い金融資産と考えることが出来ます。
しかし、その一方で国債の利回りは株式の配当利回りよりも低い場合が多いです。
ですがTLTは、株式で構成されるETFと比較しても遜色ない水準の高い分配金利回りを誇っています。
TLTのデメリット

ボラリティが高い
ボラリティとは、価格変動の度合いの大きさのことです。
価格変動の度合いが大きい場合、ボラリティが大きいと表現します。反対に、価格変動の度合いが小さい場合は、ボラリティが小さいと表現します。
TLTが投資対象とするような国債は、ボラリティがとても大きいです。
なぜなら、TLTに含まれる国債は残存期間が20年を超える超長期国債であり、満期まで保有する期間がとても長いため、その分景気の動きの影響を大きく受けるからです。
ボラリティが高いと、デフレ時に価格が上がりやすくなる反面、インフレ時に価格が下がりやすくなってしまうというデメリットがあります。
為替リスクがある
為替リスクとは、為替レートを用いて異なる通貨同士を交換する(=為替をする)際に生じるリスクのことです。
例えば、ETFを構成する債券が米国債であった場合、利息や償還益をドルで受け取ると円に交換する必要があります。この場合、為替レートの状況に応じて以下のようなことが起こります。
・利息や償還益をドルで受け取るとき=ドルを円に交換する
→円安ドル高の場合、同じドルでもより多くの円と交換できる
円高ドル安の場合、同じドルでもより少ない円としか交換でない
このため、外国債で構成されるETFには為替によって損失を出してしまうリスクがあります。
TLTは米国債で構成されるETFであるため、このような為替リスクがあることに注意する必要があります。
TLTの配当金生活シミュレーション
ではここから、TLTの分配金で配当金生活をする場合のシミュレーションを行います。
このシミュレーションでのTLTの分配金利回りを4.52%と想定して、投資金額による年間の分配金金額を算出します(ただし税金を考慮せず、税引前の金額とする)。
シミュレーションの結果は以下の通りです。
投資金額 | 年間の分配金金額 |
100万円 | 4万5,200円 |
500万円 | 22万6,000円 |
1,000万円 | 45万2,000円 |
1,500万円 | 67万8,000円 |
2,000万円 | 90万4,000円 |
2,500万円 | 113万円 |
3,000万円 | 135万6,000円 |
3,500万円 | 158万2,000円 |
4,000万円 | 180万8,000円 |
5,000万円 | 226万円 |
6,000万円 | 271万2,000円 |
7,000万円 | 316万4,000円 |
8,000万円 | 361万6,000円 |
9,000万円 | 406万8,000円 |
1億円 | 452万円 |
【検証結果】TLTの配当金生活は可能か?
以上が、TLTの概要となります。
それでは、TLTで配当金生活を行うことは可能なのでしょうか?結論としては、難しいと考えられます。
確かに、TLTは国債で構成されたリスクの低いETFであり、分配金利回りも高いです。しかし、シミュレーション結果の通り、TLTへの投資のみで生活するにはそれでもかなりの金額の投資資本が必要となります。
そのため、TLTでの配当金生活を成功させるには生活水準を下げるorより分配金利回りの高いETFを運用する必要が出てきます。
以下に、分配金利回りが12~13%を誇るETFを再度紹介しておくので、ぜひご確認ください!
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