外貨建て保険はやってはいけない?その理由は?
外貨建て保険のメリット・デメリットと合わせて、初心者向けにわかりやすく解説します!
外貨建て保険とは?
外貨建て保険というのは、保険料を外貨(外国の通貨)に換えて運用し、保険料の支払いや、解約返戻金・保険金の受取もドルなどの外貨で行う、保険です。
要するに、支払った保険料を、保険会社が外貨に換金して外国株や外国債の売買に使うため、そのために保険料を外貨に換えて支払い、また解約返戻金・保険金をその外貨で受け取るのです。
一般的に、外貨建て保険の保険料は円建て保険に比べて割安です。
なぜなら、外貨の方が債券の金利が高いため、より大きな利益を期待できる分、保険会社にとっては高額な保険料を支払ってもらう必要がないからです。
それに加えて、円とドルを交換するときの為替レート(1円で何ドルに交換できるのかを示す比率)の状況によっては、保険料を支払うときや解約返戻金・保険金を受け取るときに、為替で得をすることが出来ます。
例えば、保険料をドルに換えて支払うとき、円高であれば、ドルに交換する日本円が少額ですむようになるのです。
また、ドルで保険料を運用していたとき、解約返戻金や保険料を受け取るときにドルを円に換金する際、円安になっていれば円でより高額な金額を受け取ることが出来ます。
外貨建て(ドル建て)の資産運用や、為替について詳しく知りたい方はこちらからどうぞ!
【投資】円建てとドル建てどっちがいい?初心者向けに徹底比較!
しかし、逆に言えば、円をドルに、ドルを円に換金するときに、為替の状況によっては損をしてしまう可能性があるため注意です。
外貨建て保険の種類
次に、具体的に外貨建て保険にはどのような種類があるのかを紹介していきます。
終身保険
まずは、終身保険です。
終身保険とは、保障が一生涯続く保険のことです。
終身保険に加入すると、毎月保険料を支払う代わりに、被保険者が死亡したり高度障害状態になった場合に保険金が支払われます。
また、終身保険を途中で解約したときには、解約返戻金というお金を受け取ることが出来ます。
外貨建ての終身保険の場合は、保険料を支払いと、死亡・高度障害保険金と解約返戻金の支払いが外貨で行われます。
個人年金保険
個人年金保険は、一定の年齢になると年金の支払いが始まる年金で、誰でも自由に加入することが出来ます。
個人年金保険でも、外貨建ての場合は、保険料の支払いと年金の支給が外貨で行われます。
養老保険
養老保険は、一定期間内に死亡したり高度障害を負った場合に死亡・高度障害保険金をもらい、もし一定期間を過ぎた時点で生きていた場合、満期保険金をもらえるという保険です。
終身保険では死亡したり高度障害を負ったときにのみ保険金を得られるので、養老保険の方が保障が手厚いですね。
外貨建ての養老保険では、保険料の支払いと、死亡・高度障害・満期保険金の支払いが外貨で行われます。
外貨保険はやってはいけない?デメリットとは
それでは、ここから外貨建て保険はやってはいけないといわれる理由を紹介していきます!
為替で損をする可能性がある
外貨建ての保険では、保険料の支払いと保険金や解約返戻金の支払いが外貨で行われます。
そのため、保険料を支払うときには、円を外貨に交換する、支払われた保険料や解約返戻金を外貨から円に交換(為替)する必要があります。
このときに重要になってくるのが為替レートです。
為替レートとは、1円で何ドルに交換できるのか(1円=○○ドル)、1ドルで何円に交換できるのか(1ドル=○○円)を示す、円とドルの交換比率です。
例えば、保険料をドルで支払うために円をドルに交換するとき、1円=120ドルであるときより、1円=100ドルのときに(円高ドル安のときに)円→ドルに交換した方が、同じ円でも交換できるドルの金額が小さくなってしまいます。
また、支払われた保険金や解約返戻金を円に交換するとき、1ドル=120円のときよりも1ドル=100円のときに(円安ドル高のときに)交換した方が、受け取れる円の金額が小さくなってしまいます。
このように、為替レートの状況によって、支払う円の金額・支払われる円の金額が変わってしまいます。
為替レートの状況によっては最悪の場合、それまでに支払った保険料の総額よりも支払われた保険金・解約保険金の方が少額になってしまうこともあるのです。
そのため、外貨建て保険はリスクが高いとされています。
外貨建て(ドル建て)の資産運用や、為替について詳しく知りたい方はこちらからどうぞ!
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為替に手数料がかかる
外貨建て保険では、円→ドル、ドル→円に交換する必要があります。
この際、為替手数料を支払う必要があります。
そのため、外貨建ての保険に加入するときは、その保険会社の為替手数料がどれくらいなのかをしっかりと確認しておく必要があります。
仕組みが複雑である
外貨建て保険は、為替や*予定利率の仕組みを理解する必要があります。
しかし、もともと知識のない人にとっては、これらの仕組みを理解することは難しいです。
そのため、事前に十分な知識を持っていないと、外貨建ての保険に加入してから「こんなはずじゃなかった!」と感じるかもしれません。
*予定利率・・・保険会社が約束する、保険料の予想利回り(運用でどれくらいの利益を出せるかを予想したもの)。予定利率が高いほど、保険料は安くなる。
外貨建て保険のメリット
続いて、外貨建て保険のメリットを紹介していきます。
保険料が割安
保険には、予定利率というものがあります。
予定利率とは、保険会社が保険の契約者に約束する、保険料の予想利回り(運用でどれくらいの利益を出せるかを予想したもの)のことです。
予定利率が高いほど、保険料の運用でより大きな利益を出すことが出来るという意味です。
そして、外貨建て保険の方が円建て保険よりも予定利率が高いです。
なぜなら、日本国内の債権よりも外国の債券(外国債)の方が、*金利が高いからです。
そのため、外貨で保険料を運用した方が、より大きな利回りが期待できる結果、予定利率が高くなるのです。
期待される利回りが高い分、比較的少ない保険料でも十分な利益が得られると考えられるため、予定利率が高い分、保険料は安くなります。
そのため、外貨建て保険の保険料は割安なのです。
この場合、少ない保険料で高額な解約返戻金や保険金を手に入れることが出来るため、外貨建て保険を資産運用として利用することが出来ます。
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生命保険で資産運用!仕組みや種類、メリット・デメリットを初心者向けに解説!
為替で利益を得ることができる
外貨建て保険では、保険料を外貨で支払うとき・解約保険金・保険料が外貨で支払われたときに、円とドルを交換(為替)する必要があります。
このとき、さきほど説明した通り、為替で損をしてしまう可能性があります。
しかし一方で、為替で利益を出すことも出来るのです。
例えば、保険料を支払うために円をドルに交換するとき、ドルに対する円の価値が上がっていれば(円高ドル安のとき)、より少ない金額の円で済むようになります。
また、支払われた解約保険金・保険金をドルから円に交換するとき、円に対するドルの価値が上がっていれば(円安ドル高のとき)、日本円でより大きいお金を得ることが出来るのです。
このように、為替には損するリスクがありますが、それと同時に得をすることも出来るのです。
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生命保険料控除で節税できる
生命保険料控除とは、生命保険料を支払った金額に応じて、その年に支払わなければならない所得税の金額を減らすことが出来る、*所得控除の一つです。
生命保険料控除には、生命保険・個人年金保険・介護医療保険の三つに分類されており、それぞれに該当する保険に加入し保険料を支払っていれば、支払った金額に応じて所得控除がされる仕組みです。
外貨建ての保険はこのうちの生命保険に分類され、外貨建て保険を含むその年の生命保険への保険料の支払いが年間8万円を超えた場合、最大で4万円の所得控除を受けることが出来ます。
*所得控除・・・所得税がかかる所得の金額を減らすこと。要するに、支払わなければならない所得税の金額を減らすこと。
リスク分散が出来る
円建ての保険だけでなく外貨建ての保険にも加入しておくことで、リスク分散をして資産運用が出来ます。
例えば、円建ての保険に加入していたり、円建ての株などに投資をしていたとします。
このとき、円建てだけで資産運用をしていた場合、もし日本の株価や債券の金利が暴落してしまったとき、大きな損失を出してしまいます。
しかし、円建てだけでなく外貨建ての保険に加入しておくことで、たとえ円建ての資産運用でうまくいかなくなったとしても、外貨建て保険の解約返戻金や満期保険金でその損失を補うことが出来ます。
このように、円建てと外貨建てを組み合わせることでリスクを分散して資産運用をすることが出来るのです。
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【結論】外貨建て保険はやってはいけない?
いかがでしたでしょうか。
外貨建て保険にはメリットもある一方、「やめた方がいい」といわれる理由も数多くありました。
しかし、結局外貨建て保険はやめた方がいいのでしょうか。
結論としては、知識をしっかりと身に付けていて、多少のリスクを背負えるほどの余裕があり、保険で保障だけでなく資産運用もしたい人→外貨建て保険に向いている、と思います。
外貨建て保険の仕組みは複雑であるため、正しい知識を身に付ける必要があります。
また、為替の状況などで損失を出してしまうリスクもあるため、多少損失を出しても大丈夫なくらいんの貯蓄がある方が良いでしょう。
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